イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「とにかく、主昭から連絡があったらどうにか聞き出して欲しい。それと、歩実には近づくな」
「……別に、彼女にわざわざ会いに行ったわけじゃないのよ?」
「どうだか」
信用できるか。
叔父には常盤の機嫌を損なわないように、と念押しをされているが、歩実に対して何かしようと言うなら黙って見過ごすわけにはいかない。
不器用な人だ。不安や不満を素直に口には出来ない人だ。
それなのに勇気を出して、互いのことを分かり合おうと言ってくれた彼女を、俺は守らなくてはいけない。
そう感じた時、少し目を見開いた。
なんの戸惑いもなく迷いもなく、彼女を守るということを自然と受け入れている自分に気が付いたからだ。
人間、変わるものだなと思う。
一緒に暮らし始めてまだ間もないというのに、それ以前の自分からはこの変化は想像もできなかった。