イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
お好み焼粉の袋を手に考えていると、郁人が山芋を手に戻ってきた。
「これ、おろして入れたら美味いって」
「そうなの?」
長芋をかごに入れる。しかし、材料の中に山芋は書かれていなかった。もう一度よくよく粉の袋を見てみると、粉の原材料のところに『山芋粉末』とあるのを見つけた。
「これ入ってるみたいだけど、更に入れるってこと?」
「そうなのか……いや。どうだろう」
「それ、誰に聞いたの?」
「学生の時によく行ってたお好み焼き屋のおばさん」
だったら確かな情報に違いない。
だけど、お店ではお好み焼き粉とかは使わないような気もする。小麦粉から独自に色々ブレンドしてそうな……。
「一応買っとく?」
「そうだな。入れてみるのと比べて見てもいいし」
「具も色々試してみたいし、小さいのをたくさん焼く?」
「それでもいいし、全部半分ずつにしてもいいし」
けど、例え半分こでもそんなにたくさんは食べれないかな?
「焼きそばは?」
「えっ? そんなに食べれる?」
そんなやりとりをしていたら、通りがかりのご夫婦にくすくすと笑われた。