イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
一週間、離れていた寂しさを埋めるように、舌を絡ませる。
優しさよりも激しい渇望と欲情を滲ませる、濃厚なキスだった。

「んっ、ん、ふ」

郁人の手が、私の体をパジャマの上からまさぐり始める。それは本能のままの行動だったようだ。片手が胸を持ち上げた時に思わず身体を震わせてしまった私に、理性の欠片を呼び戻したのだろう。

手が胸を外れ、背中を摩る。そのことが酷く寂しくて、私は郁人の首筋に両腕を絡め、自分からキスを深めた。

「……郁人」

拙いキスでも、されるがままでなく私も求めているとわかって欲しかった。

「やめないで」

キスをしながら、合間に囁く。
彼は喉を鳴らし、再び私の胸に触れた。今度は柔らかく揉みしだき、キスを唇から首筋へと移していく。
そこで「はあ」と吐息を漏らし、あまりの熱さに身体が震えた。

「郁人……」
「今はだめだ。ちゃんと戻ってから……」
「戻るって約束した。それなら、今だって同じでしょう?」
「……震えてる」
「……だって、初めてだし」

すり、とお互いに肌を摺り寄せ合う。これが『欲しい』という感覚なのだと、生まれて初めて知る。
この先もずっと、すきでいていいのだと約束の証が欲しかった。彼を待つ間の支えにしたかった。

「ちゃんと、本当の妻にしてください」


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