イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「あ、でも。ちょっと気持ち良かったことがあるんです」

河内さんが、にやっと意地悪な笑みを浮かべる。

「何？」
「歩実さんを陰で笑ったりしょうもない嫌がらせばっかりしてた連中、いるじゃないですか」
「……ああ」

そういや、居たっけ。
何か、色々あり過ぎてすっかり忘れていたけれど。

「あいつら、歩実さんが抜けたあと一気に自分の仕事が増えて、四苦八苦してましたから。普段どれだけ歩実さんが量を熟してくれてたか、やっとわかったみたいですよ。ざまぁないですよね！」
「ざまぁって。女の子がそんな言葉づかいしたらダメよ」

彼女らしく毒舌炸裂で、相変わらず元気そうだと少しほっとした。
ずっと人間関係を築けないでいたけれど、最後の最後で彼女と食事に行くような関係になれて本当に良かったと思う。