イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

「大丈夫、そんなに心配しないで。毎日会うわけじゃないんだし」
「しかし……」
「郁人が庇ってくれたし平気」

笑ってそう言ったのに、郁人の顔はまだ晴れない。
寧ろ、思い出してイライラしてきたのか、また眉間に力が入る。

「当たり前だ」

思い出しても、本当に、面白いくらいに失礼な人たちだった。
叔母さんなんて鼻をくしゃくしゃにしながら黙ってコーヒーを飲んで、微笑んだかと思えば如何に常盤かすみさんが素晴らしいお嬢さんだったかを語りだした。

それから郁人に向かって、眞島の人間として恥ずかしくないようにうんたらかんたらと言い出したので、途中から私の意識は遠のき本の世界に現実逃避していた気がする。
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