イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活

だけど、そんなに、堪えなかった。
どうしてだろう、会社で郁人に似合わないと散々言われて聞き慣れたからだろうか。

郁人が河内さんを慰めていた(と思っていた)シーンを見てしまったときや、常盤さんと並んでいるところを見た時の方がよほどショックだったし。
常盤かすみさんに、会社で会ったときとか。

「私は、結構平気だったよ、ほんとに」

正直な感想としてそう伝えると、郁人が驚いたように目を見開いてちらりとだけ私を見た。運転中だからすぐに視線は正面に戻ったけれど。

「……俺に気を使わなくていい」
「本当だって。どうしてかなあ」

よくよく考えてみれば、私は面倒ごとが苦手で人付き合いを避けてきた。
だから、人に良く思われないことには、元々とても、慣れっこなのだ。


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