イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「たまには酒でも飲むか」
焼き上がったお好み焼きをコテで綺麗に切り分けて、一切れを私と自分の小皿に乗せたあと、郁人は缶ビールと缶カクテルを冷蔵庫から取って来た。
「たまにはいいね」
缶カクテルの方を受け取って、プルトップを開けると軽く乾杯する。
その後、お好み焼を食べながら、いつもどおり他愛ない話をした。叔父夫婦のことは欠片も話題に上らなかった。
私の方はお好み焼きにすっかりほだされて忘れていたからだけれど、どうやら郁人の方が気にしていたらしい。
そのことを知ったのは、寝る前になってベッドの上で軽くキスを交わしたあとのことだった。