イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
私みたいな地味代表がどうして佐々木郁人のお見合い相手に選ばれるのか。いや、もっと遡れば、どうして長年勤めた経理課から営業事務なんて婚活女子ポジションに異動になったのか。ただただ、黙々と真面目に業務をやり過ぎてうっかり白羽の矢と事故ってしまったからに他ならない。
園田歩実、三十路手前の二十九歳。名前まで堅実で面白みがないと言われたことがある。名は体を表すというやつだろうか。
営業部では昨年度、婚活を終えて寿退社した女性社員が続いて、書類作成や事務作業の即戦力が必要になった。確実で仕事の早い人間を探していて偶々私が目に留まってしまったのだ。言っておくが、私は特別優秀なわけじゃない。ただ、わき目も降らず仕事をしているから早いだけのことなのに、『デキる女』という余計な冠を被らされてこの春営業部に異動させられた。
そこにいたのが、見た目も経歴も華やかで上司の覚えもめでたい男、私と対極にポジションを置く佐々木郁人だったのだ。
園田歩実、三十路手前の二十九歳。名前まで堅実で面白みがないと言われたことがある。名は体を表すというやつだろうか。
営業部では昨年度、婚活を終えて寿退社した女性社員が続いて、書類作成や事務作業の即戦力が必要になった。確実で仕事の早い人間を探していて偶々私が目に留まってしまったのだ。言っておくが、私は特別優秀なわけじゃない。ただ、わき目も降らず仕事をしているから早いだけのことなのに、『デキる女』という余計な冠を被らされてこの春営業部に異動させられた。
そこにいたのが、見た目も経歴も華やかで上司の覚えもめでたい男、私と対極にポジションを置く佐々木郁人だったのだ。