1ページの恋

咲真

「瑠花」と呼ぶ度に心が痛くなった。
君は「瑠花」じゃなくて「結花」だから。
結婚するその日から俺は知ってたんだ。
君は気づいてないかもしれないけど
仕草も微笑み方も瑠花とは違う。
瑠花の身代わりとして結婚した君は
時々寂しそうな顔をする。
そんな顔をさせてるのは俺のせいだってわかってる。
初めて君に出会った日、一目惚れをしたんだ。
でも、その時の俺は双子だなんて知らなくて
君ではない瑠花と仲良くなっていった。
結婚をするって聞いた時嬉しくてしかたなかった。
その後に君、そう結花を紹介された。
その時に気づいたんだ…
俺が一目惚れしたのは瑠花じゃなく結花だって。
でも、決められた結婚は瑠花とのもので
そんなある日、瑠花に言われたんだ。
「私は好きな人がいるの。
だから、結花があんたと結婚すると思う。」と。
その事を聞いてモヤモヤした感情の中で
嬉しいという気持ちが混じっていた。

結婚してからもフワフワした気持ちで
毎日が幸せだった。
でも、それは俺だけで
君が陰で泣いてることも苦しんでることも
結花として生きたいってことも…
全然気づいてやれなかったんだ。
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