恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。




 律紀は太陽にの光りに鉱石をかざした。
 琥珀の中の虫や花は今にも動き出しそうなぐらい輝いて見えた。


 「君、その鉱石好きなの?」
 「……うん。こんな綺麗な鉱石見たことないから。飴みたいなのに、鉱石なんて不思議だね。」
 「そうだね。」


 女の子は、律紀の事を見てニコニコ微笑んでいた。自分の持っていた鉱石を褒められて嬉しいのだろう。律紀はそう思っていた。


 「ねぇねぇ。君のマラカイトっていう鉱石と私の琥珀、交換しない?」
 「え…………。僕のは安い鉱石だから交換なんて………。」
 「いいの!私、こっちの鉱石の方が好きだからっ。」
 「あっ!」


 その女の子は微笑んだままそう言うと、律紀の手からマラカイトのキーホルダーを取って、嬉しそうに眺めていた。


 「やっぱり綺麗だなぁー。孔雀さんみたいな色。」
 「……マラカイトは孔雀石とも呼ばれてるんだよ。」
 「そうなんだー。すごいねぇー!」
 「………本当にいいの?僕のキーホルダーと琥珀を交換しても。」
 

 律紀は少し心配になり、女の子の顔色を伺った。けれど、その女の子は全く嫌るそぶりも見せず、むしろ交換して貰えた事を嬉しそうにしていた。 


 「じゃあ、この琥珀………僕のになったんだね。」
 「そうだよ。大切にしてね。」
 「うんっ!!」


 自分の掌で輝く鉱石を見つめて、律紀は満面の笑みを浮かべていた。
 それを見つめていた女の子もとても嬉しそうにしていた。


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