恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
前回ベットで一緒に寝たことを、律紀も嬉しいと思ってくれていた事は、とても嬉しかった。緊張して眠れなかったとしても、好きな人と一緒に寝るというのは特別な事だ。
夢にとっても大切な思い出あり、幸せな時間だったので、彼も同じ気持ちだったのがわかって嬉しくなった。
そしてそれと同時に、恋人になった今でも、一緒に同じベットで寝ても、律紀は夢に触れてこないのだというのがわかってしまった事が悲しかった。
付き合ったばかりなのに、女である夢の方が、「触れてほしい、彼ともっと近くなりたい。」そう願ってしまうのは、はしたない事なのかもしれない。
けれど、夢は律紀が好きだからそう思ってしまうのだ。
けれど、彼は一緒に寝る事だけで満足なのだとわかると、夢は少し切ない気持ちになった。
けれども、夢は彼の純粋で甘い誘いを断れるはずもなかった。
「私もドキドキしたけど嬉しかったよ。……だから、やっぱりお泊まりしてもいいかな?」
「はい!もちろんです。」
夢の返事を聞いた瞬間、律紀はシュンと悲しそうな顔をしていた。が、一転してキラキラとした笑顔に変わった。
まるで、飼い主が留守で寂しくしていた子犬が、ご飼い主が帰ってきた瞬間、イキイキとする姿によく似ているなと、夢は思った。
自分が泊まる事をそんなにも喜んでもらえるとはおもえず、夢はそれだけで胸がきゅんとなった。
恋人になって数時間。
初めて恋人が出来た日の夜は、余韻にひたる事も出来ずに、彼の部屋で一夜を過ごす事になったのだった。