恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
「あ、あのね。そのー私も経験あるわけじゃないから……年上なんだけど、先に謝っておくね。」
「……それは僕も同じですよ。夢さんに無理させないようにしますから。」
「………律紀くん。」
「だから、夢さんを感じさせてください。」
彼は恋愛下手かもしれない。
けれど、だからこそ着飾らない純粋な言葉が、彼の魅力だと夢は思った。
愛しい人の素直な気持ちを知って、「イヤだ。」と言えるはずがない。
いや、夢はそんな事を言うつもりなどまるでなかった。
夢は彼の眼鏡を両手で外して微笑み、体を少し浮かせて彼の頬にキスをした。
すると、律紀は嬉しそうにニッコリと口元を緩ませると、夢の右手の掌に唇を落としながら眼鏡を受け取り、それをサイドテーブルに置いた。
少したどたどしい動きは、じれったさを感じつつも彼が自分を大切にしてくれる事がわかった。緊張した顔でも、目が合えばいつもの優しい彼の微笑みがあった。
けれど、少しずつお互いに余裕がない表情になる頃には、夢は彼に翻弄されるばかりだった。
うっすら汗ばんだ体に、優しい声、熱い体温に、彼の香り、そして、律紀から与えられる快楽。
全てで夢は律紀を感じ溺れていく。
それがとても幸せで、嬉しくて涙が溢れる。
切ない顔で、律紀が夢を見つめる。
夢がぎこちなく微笑むと、律紀は切ない表情を浮かべながら顔を近づけてキスをしてくれた。
「夢さん、好きです………。」
何度も名前を呼ばれながら、夢はそのまま目を閉じて律紀の感触に酔いしれた。
この夜が、あともっともっと続けばいいのにと、願いながら。