恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
律紀との繋がりを絶ちたくない。
その一心で、夢はその言葉を彼に伝えてしまった。
彼が夢の本当の気持ちを知ったのなら、どう思うだろうか。
きっと、いい思いはしないだろう。
わかっていても、もう気持ちを止めることは出来なかった。
「ですが、毎回ここに来てもらうのは、申し訳ないですよ。私の仕事としてではないので、謝礼もできないですし。」
「お金なんていらないです。この石の事がわかるのなら。」
「ですけど……それでは、私が納得出来ないです。僕はあなたに何も返すことが出来ません。」
あなたとの時間があればいいです。
そう、言えたならばよかったのに、と夢は思った。けれど、今さら言えるはずもない。
もう、後にはひけない。
「じゃあ、恋人になってくれますか?恋人ごっこをするのは……。」
ピリピリとした雰囲気を和ませるための冗談だった。自分でも何でこんなことを言ってしまったのか、夢にもわからなかった。
きっと、自分が思っている以上に律紀と話す事は、緊張してしまっていたのかもしれない。
こんな妙な事を口走ってしまうなんて。
普段の夢からは考えられない事だった。
驚いた顔をして、まじまじと夢を見つめる律紀を見て、夢は焦ってしまう。
彼は真面目な人だ、きっと冗談だとわかっていない。急いで訂正しなければ、と夢は口を開いた。