恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
キッチンからはリビングとダイニングが見える作りになっていた。リビングには大きな窓があり、今はカーテンが閉まっているが、昼間は太陽の光が沢山入りそうな作りになっていた。
大きなテレビもあり、その周りの棚には鉱石が並べられており、律紀らしい部屋になっていた。革のソファには、彼のコートやタオルが掛けてあり、きっと具合が悪くてそのままにしてしまったのがよくわかった。
「それにして、綺麗だなぁ。展示されてるお家みたい。」
夢はしばらく、その家を眺めてしまっていた。
とても立派な一軒屋。
ここに律紀は1人で暮らしいてるのだろう。誰かと一緒に住んでいれば、そう簡単に家には入れてくれないだろうと夢は思っていた。
「大きなお家に1人か……律紀くん、寂しくないのかなぁ?………って、早くお料理作らないと!」
夢はここに来た理由を思い出し、綺麗なキッチンで料理をスタートさせた。
律紀の言ったように、料理器具はほとんどなく、調味料もなかった。冷蔵庫には、水のペットボトルと何故か鉱石が入っており、不思議な空間になっていた。
おじやを作りながら、同時に作り置きの料理も作っておくことにした。
簡単なサラダや少量のスープ、煮物などを作っていた。夢は一人暮らしが長いので得意ではないにしても、料理は一通り作れた。
フルーツを切って、おじやと一緒にトレイに載せた。
寝ているかもしれないと、控えめにドアをノックすると、「どうぞ。」という、律紀の声が聞こえたので、夢は恐る恐る部屋のドアを開けた。
そこには、眼鏡をかけていない律紀が寝ていた。夢が入ってくると、ゆっくりと体を起こした。
眼鏡をかけていない彼は、いつもより少し幼くみえて、夢は不思議な気持ちになった。
「律紀くん、ごめんね。起こしちゃった。」
「いえ。いい香りがして、お腹空いてたので起きちゃいました。」
「そうなの?じゃあ、丁度よかった。おじやと果物なんだけど。食べれる?」
「はい!嬉しいな。いただきます。」
先程と同じぐらいに辛そうな顔だったが、律紀は弱々しく笑っていた。
彼が一口おじやを食べるのを、夢はドキドキしながら見つめた。味見はしておいしいはずだけれど、彼が食べれるかはわからない。