恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
14話「太陽の光を浴びながら」
14話「太陽の光を浴びながら」
「夢さん……夢さん。起きてください。」
「んー……まだ、眠いよ……。」
「お仕事ですよね?起きないとダメだよ。」
いつもよりふわふわで温かい布団。
夢は、やっと寝れたと言うのにすぐに起こされてしまい、また布団に潜りたくなった。
けれど、少しずつ頭が冴えてきて、どうしていつもより布団がふわふわで気持ちいいのか、そして、起こしてくれる人は誰なのか。それらを考えた瞬間、一気に目が覚めた。
夢は、すぐに布団から飛び起きると、律紀が驚きながらも、「おはよう。」と微笑んでいた。
彼はもうお風呂にも入り、セーターにズボンというしっかりとした服装になっている。
「おはよう、律紀くん。………起こしてくれてありがとう。」
そう言いながら時計を見ると、いつも起きる時間より早かった。けれど、1度家に帰るとなると丁度いい時間だった。
「律紀くん。体調はどう?元気になったかな?」
「はい!もうすっかり元気になりました。夢さんのお陰だね。本当のありがとう。」
「そんなことないよー。私なんて、結局お泊まりまでしちゃったし。」
「気持ち良さそうに寝てくれてたのでよかった。」
「…………看病する人が後から起きるなんて、恥ずかしいよ。でも、律紀くんが元気になってくれてよかった。」
律紀の顔色は、昨日よりとても良くなっており、普段通りに彼に戻っていた。
そんな彼を見て、夢はホッとした。
元気になったばかりの彼に、どうして泊まっていけ、なんて言ったのかを聞いてみたかったけれど、自分からその話しをするのはどうにも恥ずかしかった。
昨日言っていたように、夜道が危ないからなのか。それとも、病気をしていて寂しかったからなのか。
一緒にいたいと思ってくれたのか。
契約の恋人として、そんな事を言ったのか。
夢にはわからなかった。