恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
「……いろいろと事情があって、恋人ではなかったんです。」
「…………そうなんだ。俺に、女性とデートに行く時に気を付けるところとか、服装とかいろいろ聞いてきたから、そうだと思ってたんだけど。デートと思ってたのは理央だけで、きみはちがったってこと。」
「そんなことは!!………絶対にありません。」
「………何か複雑な事がありそうだね。」
「………。」
「教えてくれるかな?相談してほしいな。」
理央は、夢の顔を覗き込むように見る。
夢は今まで、この辛い恋を誰にも話せずにいた。
だからこそ、理央に助けて貰いたいと思ったし、聞いて欲しいと思ってしまった。
自分の事を罵倒してもいいから、彼に自分が謝っていたという事も理央に伝えてもらえるかもしれない。
そんな事を思い、静まりかえった小児科の院内で夢は、ポツリポツリと今までの夢と律紀の事を彼に語り始めた。
「驚いた……君は大人しい子だと思ってたけど、そんな大胆なことを言うんだね!」
「なっ…………そんなことは……。あのときは焦っていたし、頭の中がパンクしてて。自分でも変なことを言ってしまったと後悔してます。」
夢の話を相槌を返しながら真剣に聞いてくれた理央は、話終わると、そんな事を言った。
驚いたと言いながらも、理央はその話を何故か楽しそうに聞いていた。
「それを律紀は受け入れたんだよね?」
「はい。恋人らしくしようと頑張ってくれました。」
「へぇー……あいつがね。」
理央は感心しながらそう呟いた。
そして、ジッと夢を見つめた。夢は、凝視されてしまい、思わず背筋が伸びてしまう。
そんな様子の夢を見た理央は、ニコリと笑ったあと、夢の顔に近づいてきた。
夢はビックリしてしまい、おもわず「えっ。」と言葉を洩らしてしまった。
「理央さん………?」
「ねぇ、夢さん、僕と付き合わない?」
「………なんで急に。」
「自分でもいい物件だと思うよ。給料もいいし、顔も悪い方じゃないし、性格はまぁーそこそこだよ?ダメかな?」