恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。
夢は彼が何を考えているのかわからなかった。
お医者様でイケメンの理央が、自分なんかに告白するはずがないと夢は思っていた。彼には何か考えがあるのだろうと。
「私は………理央さんとは付き合えません。」
「……そっか。それは何で?」
「失恋したとしても、まだ、律紀くんの事が好きだから……。」
夢はしっかりと理央を見つめて自分の気持ちを伝えた。
目の前の彼がどんなに素敵な男性だとしても、夢は律紀の事しか考えられなかった。
気づいたら、それぐらいに好きになっていたのだ。
「夢さんは律紀の事が本当に好きなんだね。」
「はい…………そうみたいです。」
「なら、気持ちを伝えてみたらいいんじゃないかな。」
「でも………律紀くんは想ってる人がいるみたいだし。それに、彼に契約の恋人なんてお願いしてしまったのに、彼に酷いことを言ってしまいました。」
彼に振られるとわかっていて告白するのは怖い。
それに、彼に「恋愛の実験体にしないで。」なんて、酷いことを言ってしまった。
そう提案したのは自分なのに、彼のせいにしてしまったのだ。
きっともう彼は自分の事を嫌っているだろう。
「そうだね。確かに契約の恋人なんて普通に言ったらダメなことだったね。」
「………そうですよね。」
「けどそれは一般的なな正論。僕はそこから始まる恋もありだとおもうよ。普通なんてどこにもないんだから。」
「理央さん。」
彼は自分の大切な後輩にそんな事を提案した自分を怒っていると思っていた。
けれど、そうではなかった。
理央は先程よりも温かい目線で夢を見てくれていた。