水瀬くんは浮気をする生き物です
小さく頷くと、蒼くんの綺麗な顔がゆっくりと近付いてきた。
あ、私、今度こそ本当に、しちゃう…?
このまま見惚れていたいけど、どんどん詰まる距離にたまらなくなって、きつく目を閉じて。
今度こそ、鼻先が触れ合おうとした、瞬間。
「心和、蒼くーん!ご飯できたわよーー!!」
………お母さんの、ばか。
私たちの"それ"は、1階から飛んできた声にいとも簡単に阻止されて。
「…行こっか?」
一呼吸置いてから離れた蒼くんは、そう言って少し残念そうに笑った。