水瀬くんは浮気をする生き物です
水瀬くんだけなら持ち前の運動神経で華麗に着地してたところを(というか多分そのつもりだったと思う)、私がすぐ動かなかったからあんなことになったわけで、もし水瀬くんも怪我してたらどうしよう…!
いてもたってもいられなくなってベッドから降りたのとほぼ同時に、周りを囲うように閉め切られていたカーテンがシャッと音を立てて開く。
「きゃ…!」
あまりのタイミングの良さに驚いて後退りをした私はそのまま背後のベッドに足を取られて倒れ込みそうになったけど、前から伸びてきた腕にぐっと手を引かれ腰を支えられて本日2回目の転倒は免れた。
「…よかった、今日2回も転ばせる所だった」
ゆっくり顔をあげると、そこには申し訳なさそうに眉を下げて笑う水瀬くんの姿があって、心臓がきゅっと収縮したのを感じた。