水瀬くんは浮気をする生き物です
「うーわ、まじ?超必死!」
申し訳程度に上履きと靴下をプールサイドに残して入水した私を見た高坂さんは、驚き半分、可笑しさ半分といった感じで声を上げて笑った。
「でも丁度いいじゃん?しばらくそこで頭冷やしてなよ。昼休みあと5分しかないけど見つかるといいね〜?」
ばいばーい、と手を振った高坂さんは少しだけ気が済んだのか、気付けばいつも通りの笑顔に戻っていて。
…知らず知らずのうちに逆鱗に触れるようなことしちゃったんだな、私。
あのとき余計なことを言わなければ高坂さんもこんなことするつもりはなかっただろうし、やらかしちゃったなあ、なんて。
広すぎるプールに一人取り残された私は、そう後悔するしか、なかった。