水瀬くんは浮気をする生き物です
自分で言い出したのに途中から恥ずかしくなってしまったのと、思いがけず触れた唇の感触に赤面していると、抱えたままだったバスタオルを奪われてそのままわしゃわしゃと少し乱暴に髪を拭かれた。
「さて、と。部室にドライヤーあるし乾かしに行こ」
「う、うんっ」
まるで気持ちを切り替えるみたいに短いため息を吐き出した蒼くんは、すぐにまたいつもの優しい笑顔に戻っていて。
蒼くんの言う通り水泳部の部室に備え付けてあったドライヤーでお互いの髪を乾かし合いながら、ちょっとお風呂上がりのカップルみたい、なんて。
よこしまなことを考えていたら、さっきまで私にされるがままだった蒼くんが、いたずらっ子みたいな顔して見上げてきた。