水瀬くんは浮気をする生き物です
きめ細やかな蒼くんの頬に恐る恐る添えた両手が震える。
ゆっくりゆっくり、でも確実に少しずつその距離を縮めて。
あぁ、もう触れてしまいそう。
そう思ったけど、
ーーーキーンコーンカーン……
「…残念」
授業の終わりを知らせるチャイムに遮られて完全にタイミングを逃した私と、あーあ、とつまらなさそうに立ち上がった蒼くん。
「また今度、楽しみにしてるね」
人差し指でとん、と唇に触れられて、自分がしようとしていたことに気づいた私はもうたまらなくなってしまって。
蒼くんが出ていったあとも、しばらくその場から動けずにいた。