水瀬くんは浮気をする生き物です
今更ながら紫乃くんに聞いてみようと口を開きかけたけど、どうやら聞く前に着いてしまったらしい。
「お、いるいる。ほらあそこ」
高級住宅街の中にひっそりと佇む、隠れ家的なカフェバー。
レンガ造りのその建物の窓を外から覗き込んだ紫乃くんは、ニヤニヤしながら私にも分かるように指をさして教えてくれた。
「っ、」
清潔感のある白いYシャツに、黒いカフェエプロン。
至って普通のカフェ店員さんって感じの格好なのに、蒼くんが着てるだけでどうしてこんなにかっこいいんだろう。