水瀬くんは浮気をする生き物です
「まあ確かに回数こなすしかないだろうけど、それ、またしたいってことでいい?」
「っ、!」
「あ、否定しないんだ。やらしー、心和」
つつ、と親指で唇のふちをなぞられれば、無意識に肩がビクついて。
「うん、何回でも何時間でも付き合うよ、練習」
妖しく笑った蒼くんがいつもより艶やかに見えて、直視出来なかった。
「でも、練習も本番も俺だけにしてね?ほら、約束」
遠慮がちに頷いて、差し出された小指におずおずと自分の小指を絡める、この瞬間。
「…帰ろっか」
「う、ん」
夢ならどうか覚めないでって、本気で、願っていた。