水瀬くんは浮気をする生き物です
「お、まえ…!何泣かしてんだよ!?」
走ってきたのか、息を切らせた蒼くんが私に触れようとしていた紫乃くんの腕を掴むけど、状況がうまく飲み込めない。
だ、だって私泣いてない、し…?
「まったまった、さすがに誤解だって!ねえ心和ちゃん!?」
「っ、ほんと…?」
今にもそのまま腕をひねり上げられそうな紫乃くんに同意を求められて首を大きく縦に振ると、少し蒼くんの表情が緩んで。
「後から見つけて、焦った…」
ため息混じりの言葉と共に、紫乃くんも無罪放免。
「おっと、いつも涼しい顔してる蒼くんが走ってきたんですかぁ?他の女の子たちはどうしたんですかねぇ〜?」
「っ、うるせ」
「まあいいけど、心和ちゃんお前のせいで寝不足っぽいから責任取って添い寝でもしてやれよな」