水瀬くんは浮気をする生き物です
痺れを切らして教室を出ていく莉々の背中を追いかける気は毛頭ない。
いつもの事だし、それで愛想をつかされてもしょうがないと思うし。
莉々のことは好きだけどきっと俺の中でその程度の存在で、そしてその程度なのに可哀想だからって俺から歩み寄るのも違うかな、なんて。
少し頭を悩ませながら遅れて教室を出ると校内に残っている生徒はだいぶ減っているようで、音楽室から聞こえてくる吹奏楽部の演奏が心地よく響いていた。