夢の世界でキミと、待ち合わせ。
さも当たり前かのように、看病してくれて。
こんな風に人に看病されたことなんてあっただろうか。
母親は、私の風邪なんかまるで面倒ごとのようにしていて、
熱さまシートとかおかゆを渡すだけ渡してあとはもう仕事に行っていた。
…まあ、忙しいのは知ってたからそんなの当たり前なのかもしれないけれど、
今考えたら本当に彼女は私の風邪は面倒ごとだったんだろうな。
多分、なんで風邪なんか引くんだよ。…なんて思ってたんだろうな。
……父親は父親でもう物心ついた時には死んでいたから、看病なんてしてもらったことはなかった。
まあ、多分ほんとに赤ちゃんの頃に風邪ひいてた時は看病してくれたのかなぁ、なんて勝手に思い込んでいる。
数分後。
「はい、持ったきたよ」
小さいお鍋をおぼんにのっけて来た侑李くん。
「ありがとう。
……て、あれ?これ、作ったの…?」
思わず聞くと
「あー…うん。
ちょっとダメだとは思ったんだけど炊飯器見たらご飯あったからさ。
それに、レトルトなら夜とか食べやすいかなーって思ってさ」
「……あり、がとう…」
初めて、人が作ったおかゆ食べるなぁ…。
なんて考えていたら、彼は鍋の蓋を開けて、
スプーンでおかゆをすくってフーフーと冷ましてから
「…はい、あーん」
と言い、私の口元にスプーンを持ってきた。
「え、」
「ほーら、冷めちゃうから。ね?あーん」
「……っ、」
意を決め、口を開けたら彼がスプーンですくっていたおかゆを口に入れてくれた。
「…ん、…あっ…美味しい」
「ほんと?良かった。ちょっと見様見真似で作ったからあれだったんだけど…
良かった」