雷王に愛された花
ひたむきに勉強する様子や、ケガをしている自分に優しくしてくれたこと、自分で作った料理をうまいと褒めたときの嬉しそうな顔。どれもかわいいと思い、口に出してしまったこともあった。

今までの自分じゃ考えられないことだった。女に対してかわいいなどと思ったことはないし、触れたいと思ったこともない。いつもいつも群がってきて、うざったくてめんどくさい
としか思っていなかったのに、、、

それでもそんな変化を嫌だと思ったことは一度もない。むしろ、あげたピアスは使ってくれているか気になったり、もらったアロマオイルもザガンに見せびらかしたりするのも楽しかった。

今、あのもらったアロマオイルは少なくなってしまい、なくなることが嫌だったので香水に作り変えてもらった。

自分でもびっくりするくらい女々しいことをしているが、両親は俺の変化を喜んでいるから、まぁ悪くないと思っている。

俺の花言葉や誕生石の知識は母親譲りだ。いつも聞かされていたから染み付いてしまい、ふとした時に行動に現れてしまう。そういえば、こんな早くミレイが来れたということはユリンが後押ししてくれたのだろう。

ミレイがいないとき、俺はユリンに直に頼みに行き、協力するという約束をしてもらった。

自分の名前を告げた時は微妙な顔をした彼女も、国に帰ってみんなを説得したら迎えを送るという言葉を信じて、「ミレイ様は心がとても美しいので悲しませないでください」と言ってくれた。

その約束通り説得して回ったが、先に婚約者がいるならば、他の人でいいだろうという者や、国内の令嬢と結婚するべきだと言う者にはおやじも頼み込んでくれた。
< 40 / 53 >

この作品をシェア

pagetop