雷王に愛された花
「急に決めて、国に呼んでしまってすまない。この国に早く馴染んでもらえるように努力しよう。くつろいでくれ。」

「ありがたきお言葉。初めて来ることができ本当に嬉しく思います。」

「今宵の夜、貴女を紹介する舞踏会を行う。参加してくれ。」

「わざわざありがとうございます。」

私は何て答えたっけ?粗相をしていないかしら。彼は私の良く知るクリスの面影を残しているけれど、ずっと冷酷な目をしているし、優しさの欠片も感じられないような口調ね。

私には伯爵家の長男だって、自己紹介したのに、、、まさか、王子様だったなんて、、、しかも今は王様ということよね、、、本当に同一人物なのかしら、、、

私に偽りを伝えたのはなぜなんだろう。からかっていたのか、めんどうだったのか、、、何を考えているのかしら。

それより、舞踏会なんて聞いていなかったのに。ドレスだってこれはダメよね。イブニングドレスを持って来いなんて言われてないわ。

もう、なんだか訳がわからないし、上手くやっていけるかわからない。あの居心地のいい離宮に戻りたいわ。
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