雷王に愛された花
「お帰りなさい、ミレイ様。どうでしたか?王様とのご対面は。」

「もう、とても驚いたわよ。知ってる人だとはおもわなかったもの。しかも私には伯爵家の長男だって言ってたのよ?なんだか騙されたような気がして。」

「まさか、そんなことはないでしょう。今度会った時に聞いてみたらいかがですか?聞いてみるのが一番です。」

「えぇ、そうね。そうしてみるわ。それより、私イブニングドレスを持って来なかったわよね?」

「はい。必要ないと。」

「今日これから舞踏会があるそうなの。どうしましょう。」

「それは大丈夫ですよ。私がこのミレイ様専用のお部屋に通していただいた時にはもう、クローゼットの中に様々な種類のドレスがありましたよ。どれもミレイ様に合いそうなものです。
それと、こちらへ。」

「まぁ、これは?どうしたの?」

「これはロイ様からミレイ様へのプレゼントたちです。」

「え?本当に?」

「はい。ドレスはもちろん、靴や装飾、髪飾りまでありますよ。」

「えぇ!それは舞踏会に、という意味よね。」

「はい。それに、これから少しお腹を満たしたら、こちらの侍女様たちがエステを開いてくださるみたいです。」

「そこまでしていただけるの?」

「はい。私もとても驚きました。」

「ぴかぴかにしてから参加できるのね。嬉しいわ。」

「良かったですね。元々ミレイ様は社交的な方ですし、きっと楽しめますよ。」

「そうね。とても楽しみだわ。でも王様になったクリスに今まで通りにするわけにはいかないわよね。寂しいわ。」
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