洗脳されていたことに気付いたので逃げ出してスローライフすることにします。－元魔王四天王の村娘ライフ－

台所から食料と水をちょろまかし、ついでに宝物庫から大ぶりの宝石がついたアクセサリーを６つほどとその辺にあった巾着袋に入るだけの魔鉱石を詰めた。

宝石はどこか人間の街でお金に変える。
魔鉱石は魔法を使う時にも魔法具を作るのにも使うのだ。

魔鉱石は我が家には研究に使う用に山ほどあるから少しくらい減っても気付かれないだろう。
アクセサリーだって箱に入ったものを選んだのですぐには大丈夫。


私は上手くやったとホクホクしながら部屋へと帰った。

あとはここから脱出するだけである。


一応テーブルの上に『しばらく旅に出ます。探さないで下さい』と置き手紙を置いておいた。
こうしておけばすぐに追っ手が来るということもないだろう。　
ちゃんと『しばらく』って書いてあるし。
しばらくしたら帰って来るって思うでしょ。
帰るつもりはないけど！　

「ではさらばじゃ！」

国と屋敷と自室と。
心の中でだけ色んな人に別れを告げて。

私はとん、と足下を蹴った。

広がる魔法陣。
行き先は以前『移動』の魔法陣の試験中に立ち寄った小さな村近く草原。

のんびり暮らすにはちょうど良さげなのどかな田舎。

「目指すわのんびり田舎スローライフ！散々働いてきた分、自堕落生活をするぞー！」

エイエイオー！！
こうして、私は一人腕を振り上げながら魔法陣を発動させて洗脳国家と魔王様からバイバイしたのである、まる。