洗脳されていたことに気付いたので逃げ出してスローライフすることにします。-元魔王四天王の村娘ライフ-
『てれび』で見た大草原の大きな家っぽい一面の原っぱが私のひとまずの新天地である。

ここは私以外の魔族なら魔力量的に『移動』の魔法陣を使用しても一度では来れない距離だ。
人間の国の一部ではあるけれど、田舎も田舎の国の端っこ。

近くーーといっても普通に歩けば2日ほどかかる場所に小さな村というか集落があるだけの場所。

その昔、人間の賢者だか大魔導師だかが大規模範囲魔法を試し打ちしたあげく失敗して山を二つ更地にした上に土地が呪われて土が腐ってしまったといういわくのある場所である。

とはいえそれは数百年も前の話で、今では土も自然に浄化されて地面には短いながらも草が一面に生えている。

それでももともと山と森に囲まれた土地のため、今でもごく僅かにしか人は住んでいない。

住んでる人間だってきっとちょいと『訳あり』な人間なんじゃないかと思う。
だってそうでもなきゃわざわざこんな不便な場所には住んでいないだろうし。

「ま、その方が都合がいいやね」

私だって『訳あり』だ。
『訳あり』同士なら仲良くやっていける気がする。


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