【完】大切な人なんて作っちゃダメだったのに。
「じゃあ、俺の事も湊って呼んで!」
「え」
「ダメ?」
「⋯⋯いいけど」
ダメ?の時の顔がなんか子犬みたいだった。
え。そんなに呼んで欲しかったの?
なんで??
「やったね!」
すごく、嬉しそう。湊くん下の名前で呼ばれることの方が多いはずなのに。
「あ、菜乃花、こっち」
突然湊くんに体を押されて壁と湊くんに挟まれる。
そして、私がいた場所をバイクが横切って行った。
「⋯⋯あ、ありがと⋯⋯」
危なかった。全く気づかなかったよ。
「よかったな。怪我しなくて」
「うん」
⋯⋯私を壁際に寄せた時一瞬湊くんがかっこよく見えた。