【完】大切な人なんて作っちゃダメだったのに。
「どうして⋯⋯悲しそうなの?」
今にも泣きだしそうな雰囲気。
「まだまだだなって、俺。菜乃花に頼ってもらえる力があればいいのに」
湊くんは十分あると思う。
でも、頼ることをしちゃいけないの、私は。
頼ったところで結局最終地点は同じ。
「⋯⋯そんなことない。湊くんはみんなから頼られてるでしょ?求められてる」
「でも俺は菜乃花じゃないと意味が無い」
私じゃないと⋯⋯?
「菜乃花の力になりたい。無理やり聞き出そうとはしないから。何かあったら俺を頼って」
なんで、そこまでしてくれるんだろう。湊くんは。
しかも、私のために。
私が私じゃなかったら湊くんに頼れたのに。