【完】大切な人なんて作っちゃダメだったのに。
なんで、私こんなこと言ってるんだろう。
「⋯⋯うん、ありがと、菜乃花。こんなに私の味方してくれるの菜乃花しかいない!」
「そんなことないと思うけど」
「翼くんのこと好きなの」
「知ってる」
だって、付き合ってるんだもん。
「翼くんといるとふわふわした感覚になってね、ドキドキして、この時間が止まればいいのにって何度も思うの」
恥ずかしそうに言う美奈。
「てか、あの口振りは何か経験談かな??」
またもやニヤニヤしだす美奈。さっきまで恥ずかしそうに翼くんへの愛を語ってたくせに。
「経験談⋯⋯!?私恋したことないよ!」
「珍しく焦ってる!」
ちらっと湊くんが浮かんできて焦っただけ。
もう、びっくりした。急に浮かばないでよ。
ピリリリリ
「美奈かな?」
「あ、私だ⋯⋯翼くん?」
「出てきなよ。早く仲直りしな」
「うん⋯⋯ごめんね!ちょっと外出る」
「行ってらっしゃい。頑張って」
翼くんから電話がかかってきたんだし多分美奈たちは大丈夫かな。
「ゴホッゴホ⋯⋯!」