【完】大切な人なんて作っちゃダメだったのに。


お母さん達は、今も私と一緒に過ごしてくれてたのかな。



先に死んじゃう私の事なんて、どうでもいいなんて思わないのかな。



「菜乃花?」



どうしていつも湊くんは現れるんだろう。



「泣くな」



泣いてるの⋯⋯?私。



放心状態の私の涙を拭き取ってくれる湊くん。



「なんで、いるの⋯⋯」



今は夜中だし、ホテルの外だし。



「菜乃花が呼んでるような気がして」



「み、なとく、ん⋯⋯」



なんで、湊くんはこんなに優しいの。



こんなに酷い私に優しくしてくれるの。



「菜乃花、泣くと幸せ逃げるぞ〜」



笑いながら言う湊くん。



でも、茶化してるんじゃなくて気を使って言ってくれてるのがすごく、伝わる。


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