チャラ王子に捕まりました。
ま、また私のヘンテコなピアノを聴かれてしまった…。
面白かったという言葉に少しショックを受けながら、1度あった目を逸らし俯く。
人に自分のピアノを聴かれるのは苦手だ。
人前に出るのも苦手だし、大して上手くもない私のピアノを聴いてどう思われるかって考えただけでも怖い。
なんて考えながら足元を見ていると、いつの間にか隣に来ていた晴琉くんの両手が優しくほっぺたに添えられた。
そして、その手に力が込められ必然的に晴琉くんと向き合う形になる。
「ひなちゃんこっち向いて」
「……っ!?」
人見知りの私は、もちろん異性と話すことも触れられることも慣れてない。
顔が一瞬で赤くなるのが分かる。
うぅ…ち、近すぎて目のやり場が…。
慣れない近さに目をキョロキョロさせていると、静かにほっぺたから手が離れ、再び晴琉くんと距離が出来た。