チャラ王子に捕まりました。
晴琉くんの一言で静寂な空間が少しの間続く。
そしてそれが、コンクールでもないのに緊張を感じさせる。
そんな空間の中、再び綺麗な音色が一気に世界を変えた。
まえに晴琉くんが言ってた“ いかにその作曲家になりきる”という言葉を思い出す。
どんな思いで作ったのか…
どんな気持ちで演奏すべきなのか…
テンポ、音程、強弱…全てにおいて、この曲に真剣に向き合っているからこその圧倒的な音楽…。
軽快に…だけど熱情的に響くその音には、深い哀しみが感じられる。
すごい…、さっきよりも曲のイメージがより表現されている…。
その演奏に一瞬で惹き込まれ、自然と涙が溢れそうになる。
でも…、なんでだろう。
晴琉くんが弾いてるはずなのに、この演奏からは晴琉くんが感じられない。
今…晴琉くん自身の感情は、一体どこにあるのーーー…?