チャラ王子に捕まりました。
ぎゅってして?
晴琉くんの演奏を聞いた日から2週間が経ち、無事テストも赤点を取らずに終わった。
レッスン室にも何となく、晴琉くんの邪魔になってしまいそうで通えずにいたため、このピアノにも久しぶりに触れる。
ちょっと弾いて帰れば、邪魔にはならないよね?
あの日からずっと…晴琉くんの演奏が頭から離れない。
椅子に座り、ピアノに触れると…
指が勝手に動き出した。
…とは言っても、楽譜は見たこともないから自己流だけど。
少し弾いていると、微かにドアの開く音が聞こえ手を止める。
「あ、ごめん。邪魔しちゃった?」
久しぶりに見る彼の姿に、なぜだか胸がドキドキする。
「…晴琉くん……。って、ご、ごめんなさい!私の方こそ邪魔しちゃって…。今出ていきます」
晴琉くんの背中に背負ってるヴァイオリンの存在に気づき、練習しに来たんだと悟る。