チャラ王子に捕まりました。
「クスッ…なんかひなちゃんらしいね。影でめちゃくちゃ頑張ってるとかダサいし恥ずかしいから知られたくないけど、ひなちゃんにはバレてよかったかも」
心做しか嬉しそうに見える晴琉くんの笑顔に、いつもながらドキッとしてしまう。
「………」
「それに、ひなちゃん流のヴァイオリン協奏曲も聞けたしね。あーなんか、少し緊張ほぐれたかも」
「緊張…?」
「ん。明日本選なんだよね」
これの、と伝えるかのように背中に背負ってるヴァイオリンを見せると、窓の近くの壁に寄りかかるようにして座った。
…本選?
「…えっ?!そうとは知らず貴重な練習時間を、奪ってしまってごめんなさい…」
「いや、俺はいい気分転換になって良かったよ。あーでも、なんかまだ明日頑張れる自信ないな〜。ひなちゃん、ちょっとこっち来て?」