チャラ王子に捕まりました。


「晴琉くんの努力は例えみんなが知らなくても、私は知ってるよ。えへへっ…、応援してます」



ニコッと笑って伝えると、目を開き驚いた顔を見せた。



「…やばい、嬉しくて泣きそう」



晴琉くんはぱっちりと合っていた目線を逸らすと、左腕で顔を隠すようにして俯いた。



「は、晴琉くん?………わっ?!」



心配になって目線を合わせるように膝立ちをし、覗き込もうとした時…



繋がれた手を軽く引っ張られ、私の体はバランスを崩した。



―――ぎゅっ…



一瞬にしていい香りに包まれ、抱きしめられていることに気づく。



「クスッ…隙あり」



「……っ?!」



少しするとゆっくりと体が離れ、向かい合う形になった。



ほんの少しだけ、先程まで感じていた暖かさがなくなり寂しさを覚える。



「ありがとう、ひなちゃん。よし!じゃあ、レッスン行ってくるね」



何事も無かったかのように言う晴琉くんとは裏腹に、抱きしめられたことなんてない私は真っ赤になった顔を押さえながらコクコクと頷くことしか出来ない。



そんな私の頭をポンポンと撫でると、ヴァイオリンを肩にかけ教室を出ていった。



どうしてだろう、ドキドキが止まらないよ――…。




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