クールな彼のニセ彼女
「返事なら、前にしたよね」
決して怒っているわけでもなく、かといって優しいわけでもない。
少しもよどみのない透き通るような声。そんな綺麗な声で“NO”と言われたって、好きでいることを諦めきれない女の子の気持ちはすごくわかる。
だけど、町田くんの返事がちゃんとNOでよかった…。
これで女の子も諦めつくんじゃ……?
「で、でも、町田さん、彼女いないんですよね…?友達からじゃ、だめなんですか…?わたし、振り向いてくれるまで諦めません…!」
泣きそうな声の彼女。すごい、すごく積極的…。わたしとは正反対だ…。すごく可愛い子だし、わたしが男なら、友達から始めてしまうかもしれない…。
「…彼女いるから、ごめん」
町田くんが受け入れてしまったらと不安がつのるなか、彼のその言葉に、わたしの心臓はドクンと嫌にひと跳ねした。
彼………女?
「っそ、そんな嘘つかないでください…!」
「嘘じゃないよ」
「だ、だったら写真とか見せてくださいよ…!」
「…」