クールな彼のニセ彼女


ふたりの会話が、まったく頭に入ってこなかった。


“彼女いるから”


その短い言葉が、頭のなかで何度もぐるぐると繰り返される。


町田くんに彼女がいるなんて………。


バサッ──


視界が真っ黒になっていたそのとき、わたしの手のなかにあった彼の答案用紙が強い風にあおられ天へと放たれた。


あ、いけない…っ!


答案用紙を追いかけるように思わず塀の表に飛び出して。


ハッとしたときには、もう遅くて。


バササッ!

「きゃっ!」


答案用紙はさらに風の思うまま。

あろうことか女の子の顔面に張り付いてしまった…!!

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