クールな彼のニセ彼女
ぎゃー!!
ど、どうしよう…!
しかもわたし、ふたりの前に出ちゃったし!!
──バチリ。と町田くんと目と目が合う。
心臓がどきんっ!と大きく高鳴った。
だけれど、混乱と緊張で固まったみたいに動けなくなった。
盗み聞きしてたってバレたくない──!
──ぐいっ
突然手のひらを勢いよく引っ張られたと思ったら、視界いっぱいに綺麗な顔がうつった。
「…悪いけど、話し合わせて」
「え…っ?」
今、わたしの手のひらを握っているのは、だれ?
今、目の前にいるのは、だれ?
頭のなかはパニックで収集がつかない。
話し合わせてって、なに──!?
「な、なにこれ、答案用紙…!?ま、町田さんの…!?」
顔に張り付いた答案用紙を急いではがした女の子。
次の瞬間、もともと大きな彼女の瞳がはち切れそうなほど大きくなることを、当惑する思考のなかでも、わたしは予想できてしまっていた。
「この子が、彼女」
「ッ…!!」
「これ、返してね」
町田くんは女の子の手から答案用紙を抜き取ると、わたしを引っ張ったまま歩き出した。