クールな彼のニセ彼女
町田くんは頭がいい。
かといって、わたしも悪くはない。いつも平均点以上の点数は取っている。
だけど、今のわたしは真っ白だ。もしこれがテストなら0点に違いない。名前すら書けない。成川美保って。
だって……たった今町田くんに手を繋がれている人物が自分だなんて……そんなこと、ある?
何十メートル、歩いただろう。
何十秒、経過しただろう。
だけどまだ、わたしはシャーペンを持つことすらできないままだ。
「…後ろ、ついてきてないよね」
立ち止まり、振りかえる彼。
同時にわたしの足も止まり、彼と同じ動作をとりあえずする。それしかできない。
さっきの女の子が、ついてきてないかってことだよね…うん、大丈夫みたいだ。