クールな彼のニセ彼女
「美~保~っ!!おめでとうっ!!」
がばっ!!ぎゅっ!!
「うぐっ」
く、苦しいいいいっ。
たしかにわたしのなかでは、いつものちがう月曜日だった。
わたしのなかだけのはずなのに。
なぜだかミカコが、いつもの月曜日とは違う態度だ。
教室に入るなり、いきなり抱きつかれた。
「み、ミカコ、苦しいっ」
「だって~!嬉しいんだもん!!」
「な、なにが…っ?なにかあったの…っ?」
もしかして、わたしの報告なんかよりもミカコ自身、うれしいことがあったのかな?そりゃあしっかり聞かなきゃ!!
「も~、しらばっくれちゃって!!町田と付き合ってるんでしょ!!」
しっかり聞かなきゃ、と待ち構えていたのに。
ミカコの口から発せられたのは、なぜか町田くんのこと。
「へ…?」
町田と付き合ってるんでしょ…?
「よかったじゃんおめでとう~!!」
……………はい?
ミカコはさっきから…いったいなにを、言ってるの?
「詳しく聞かせてよ~!!」
「ちょ、ちょっと待って、なんでそんなことに──」
「美保ちゃーん!」
そのとき、わたしの戸惑いを遮るかのように、後ろから名を呼ばれた。
振り向くと、出入口に去年同じクラスだったアキちゃんが立っていた。
わたしはわけがわからないまま、とりあえずアキちゃんの元へと向かう。