クールな彼のニセ彼女


「美保ちゃんって町田と付き合ってるんだよね?」


廊下の隅まで引っ張られ、単刀直入に切り出してきたアキちゃん。


あ、あれ?それ、さっきもミカコに言われた気がするんだけど…。


「リナ、わたしの中学のときからの後輩なんだけど、美保ちゃんにほんとに町田くんと付き合ってるか確かめてきてって頼まれちゃってさ」


思考が追い付かないわたしをよそに、勝手に話を進めるアキちゃん。


「り、リナ…?」


いったいだれだろう。わたしの友達にリナって子はいないけど…。


「ああごめん。金曜日に町田を待ち伏せしてた女の子のことだよ。この写真、美保ちゃんだよね?」


アキちゃんはそう言ってわたしにスマホの画面を見せてきた。そこにはしっかりと手が繋がれたわたしと町田くんのツーショット。後ろから撮られたものだけど、はっきりとわたしの横顔がうつっていた。


心臓がドキンっ!と大きく跳び跳ねた。まるで、あの金曜日の放課後に舞い戻ったみたいに。

やっぱり夢じゃなかったんだ。たしかにわたしは町田くんに手を繋がれたんだ。


「その顔見ると、付き合ってることはほんとみたいだね」


「え…っと」


「実は、リナが、付き合ってるように見えなかったって言っててさ」


ど、どうしよう…っ、どうしたらいいんだろう。

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