クールな彼のニセ彼女
「町田くんって、美保ちゃんみたいな子がタイプだったんだね~!」
「なんかわかる気がする、美保ちゃんふんわり系だしお似合いだよね~!」
「同じクラスのカップルって3組くらいいるよね~!」
今、顔が赤くなっている自分を殴ってやりたい。付き合っていないのに赤くなっている自分を殴ってやりたい。間違いでも町田くんと付き合ってることになってるなんて、おこがましすぎる…!!
「あのね、みんな…っ」
誤解を解こうとした。──だけど、引っ掛かった。
もし、あのリナっていう子が、付き合っていることが嘘だと嗅ぎ付けて、町田くんに迷惑をかけたら…?
そんなの嫌だ。
アキちゃんはけっこう深刻そうな言い方をしていた。だからかなりおかしい子なのだと思う。見た目は、純粋そうな可愛い子に見えたけれど…。
どうしよう、なんて言えばいいの──!
「あ、町田くんだ~!」
え…っ!?
後ろをバッと振り向くと、前側の扉から町田くんがいつもとなんら変わらない様子で登校してきた。
町田くんに知られたくないよ、わたしと付き合ってると言われているなんて…!それこそ迷惑だよ…!
もう、どうしたらいいのかわからない──!
「み、美保っ!?」
わたしは思わず教室から飛び出してしまった。