クールな彼のニセ彼女
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あれから町田くんに朝のあいさつが成功することなく、あっという間に金曜日がやってきた。
「最高得点は98点、町田だ」
今は、これで終わりの6限目、数学の時間。
先週行われた中間テストの返却をされている。
数学の先生はいつも最高得点の人物の名をあげるのだ。
っえ!?町田くん!?
筆箱をあさるわたしの手が一瞬にしてピタリと止まった。
すごい、町田くん英語でも95点取ってなかったっけ!?
町田くんが頭いいのは1年のころから調べ済だったけど、このクラスでも一番いいだなんて…!!もう、かっこよすぎ!!
背も高いし顔もかっこいいし…すべて完璧だよ、町田くん。
だからアタックする勇気が出ないっていうのもあるんだけど…。
町田くんみたいな素敵なひとが、これといって特に取り柄もない平凡なわたしに振り向いてくれるはずがないって、心のどこかで最初から諦めている自分がいる。
しかも、町田くんって普段女子とほとんど話さないからタイミングもつかめないし…。