クールな彼のニセ彼女
「美保のことだから、どうせ町田のこと考えてたんでしょ~!」
数学の授業が終わって、放課となった。
鞄を肩にかけたミカコがニヤニヤとした面持ちでやってきて、小声で言った。
「どうせってえ。まあ、そうなんだけどお…」
ミカコにはバレバレだ。わたし、先生に怒られるタイプじゃないのに、クラスのみんなに注目されて恥ずかしかったなあ。
「じゃ、わたし今日用事あるから先帰るねっ!」
ミカコはそう言って笑顔で手を振り早々と教室をあとにして行った。
ミカコはまるで風みたいだなあ。
わたしみたいに勇気が出なくてとろとろしていない性分。
しばらくは彼氏はいないみたいだけど。
わたしもミカコみたいに颯爽としたいなあ…。
そんなことを考えながら筆箱やクリアファイルをカバンにしまっていく。